韓国徴用工裁判の真実

平気な顔をして国家間の約束ごとを反故にして、近代国家として恥ずべき行為。それが国際社会からどう見られるのか、なぜ計算できないんでしょうか。

 アメリカで90年代末、クリントン政権のとき、統一ドイツに対する戦時賠償が問題化した。

 統一ドイツができるまで、第二次世界大戦のドイツの戦時賠償もユダヤ人の賠償問題もすべて放置されていた。対して、ドイツは『もうすべて賠償済みだ』と主張した。

 オランダやフランスはユダヤ人狩りでナチに協力した過去があるから戦時賠償も本気で言いにくい。それで黙っているのに対し、それでは納得できない国も多かった。

 特にアメリカのユダヤ系が、『我々は国を持っていないから国家間交渉ができない』と反論した。そこで持つ出されたのが、1789年に制定された『外国人不法行為請求権法』という法律。

 アメリカ国外の行為だったとしても、アメリカ内で物やサービスを提供する会社であれば、アメリカの裁判所で不法行為責任を追及することができるという法律です。

 もとは独立したアメリカとイギリスとの争いから生まれた法律だけど、滅茶苦茶なルールです。この法律を下敷きにして、ユダヤ人がドイツ系企業のクルップやダイムラーベンツ、フォルクスワーゲンに対して戦時に受けた損害の賠償を請求できるようにしようと言い出した。

その手法を編み出したのはアメリカの弁護士。ロサンゼルスのミルバーグ&ワイス弁護士事務所と、バリー・フィッシャーだ。彼らはもともと民事訴訟の際、誰が一番ディープポケット(金持ち)かを見極め、訴訟相手にする。統一ドイツという国家を訴えたところで戦時賠償はそう多く期待できない。でもドイツにはダイムラーとかバイエルンとかディープボケットが何社もある。

 彼らを訴える対象にすればドイツ政府以上にカネが搾れるのじゃないかと考えた。折しも弁護士出身のクリントンが大統領でそういうお膳立てをしてくれて1996年から交渉が始まった。

 その結果、国を持たないユダヤ人が労役させられたドイツ企業に対しては請求できるようになった。

 つまり、賠償は国家間によるものというルールが覆されたわけです。

1648年に締結されたウェストファリア条約を完全に無視するものだった。

 そして1999年2月、ドイツの政府と企業が共同で、50億ドルを拠出して償いとする『記憶・責任・未来』基金(2000年8月12日施行)が創設された。

 それを見て最初に真似をしたのがマイク・ホンダとトム・ヘンデンだったわけです。共同で『ヘンデン法』を提案し、在米日本企業に対しても多くの訴訟が始まりました。

 ヘンデン法はカリフォルニア州議会で成立した州法だったけれど、たちまち中国人やアメリカ人捕虜など20万人が集まり、新日鉄住金や三井物産をはじめ、日系企業が1兆円ほど取られるのではないかと言われていた。ところが、サンフランシスコ連邦地裁が『賠償問題はアメリカと日本の間で解決済み。そんな請求は受けつけない』と判決を下し、ヘイデン法を葬(ほうむ)り去った。アメリカはまだまともな国だったわけです。

 ところが、バリー・フィッシャーの執念と言うべきか、アメリカ以外の国ならどんな訴訟でも成立させられると見た。

 それでまず2000年に北朝鮮に渡り、日本企業を対象に請求することを言い出した。

 そのちき、フィッシャーは金正日に、訴訟に当たって『日本人を怒らせる隠しごとは始末しておけ』と忠告した。もし隠しごとがあったら、企業間のみならず国家間訴訟もうまくいかなくなる、と。

 それで拉致問題──2001年の日朝首脳会談につながるわけです。

 金正日は忠告に従って『日本人をたくさん拉致した』と告白した。ところが、それを知った日本側が硬化し、賠償の話どころではなくなった。

 フィッシャーは次に無法国家、中国に目を付けた。華東政法学教授の菅建強が立ち上げた『世界抗日戦争史実維護連合会』の2004年の活動報告会には、強制労働のカドで日本企業を訴える原告代表に、フィッシャーが就任したことが記載されている。

 三菱マテリアルもその標的にされました。ロサンゼルスにあるサイモン・ウィーゼンタール・センター(アメリカ・ロサンゼルスにあるホロコースト〈ユダヤ人大量虐殺〉の記録保存や反ユダヤ主義の監視を行い、国際的影響力を持つ組織。以下、SWC)

 副所長のエイブラハム・クーパー氏は、

 『3ヵ月前に驚くべき出来事がありました。日本の「三菱マテリアル」の重役たちがここの博物館を訪れ、公衆の面前でジェームズ・マーフィーという94歳になるアメリカ人男性にお辞儀して謝罪を表明しました。マーフィーは第二次大戦中、捕虜となり「三菱鉱山」で「奴隷労働者」をしていたのです。この光景から私は学んだことは、「責任を取ることのできる人間の強さ」というものです。三菱が行ったことは単に「正しい」という行動ではなく、大変重要な「姿勢」を示す行いでした。当時の生存者はほぼいませんし、今日では誰も三菱が「奴隷労働者」を使っていたなどとは知りません。でも、三菱側は戦時中会社が虐待した人が多少なりとも生存していてることを知っていました。これこそが「正しい」行いです。

 この一件は中国や韓国でも報道され、インターネット上でも広く知れ渡りました。「ジェスチャー」とは、人と人との間で行われる行為です。首相は誰か政府関係者を送ってきましたが、この時は「日本の一私企業」が「一般アメリカ市民」に対して示した「ジェスチャー」でした。この種の行為は、信用と友好のレベルを引き上げ、逆に怒りと憎しみのレベルを引き下げます。私が頻繁にアジアを訪問する理由の一つは、このような人対人の関係、「イデオロギー」ではなく、もっと人間的な行動を促進させるよう励ますことにあります。他の日本企業も同じようにしてくれたら、と願います。法的な義務もなく、誰も訴えたりしないし賠償金を払う必要もありません。ただ「歴史的」「道徳的」見地から、このような姿勢は将来への大いなる「投資」であると思います。それこそが進むべき道なのです』

 訴訟社会のアメリカでは安易に謝罪するということが、単なる綺麗ごとではすまされないでしょう。物事はこうやって次のステップに行くのです。これに関与していたのが、元外交官で、三菱マテリアル社外取締役の岡本行夫氏でした。

 それで1人当たり10万元(約170万円)の賠償金を払うことになった。岡本行夫は世界を知り尽くした顔をしているけれど、中国人にいいように使われる傀儡。

 『三菱マテリアル和解 中国人強制労働で謝罪』『三菱マテ 深甚なる謝罪』と題して2016年6月1日、2日にかけれ朝日新聞が嬉々として報じていました。

 6月6日には『中国人強制連行 意義ある和解に決断』と社説で掲げ、『1972年の日中共同声明で、中国は日本に対する戦争賠償の請求を放棄した。(略)とはいえ、強制連行・労働は戦時中の日本政府が動員計画をつくり、実行した結果であり、その史実は消えない。(略)これに対して政府は傍観者のままでいいのか』などと日本政府を畳み掛けています。さすがに〝慰安婦〟の文字は出せなかったようですが。

 しかも、三菱マテリアルは約1億円の予算を拠出し、中国国内の事業所数カ所に『受難の碑』を建立するとともに、2億円の予算で調査を行い、1人当たり25万円の予算をあてて中国から関係者や遺族を日本に招待するといった約束をしているようです。支払金額は総額70億円にも達すると朝日は報じています。

 三菱マテリアルの対応が今後どのような波紋を広げるか・・・と思いながら誌面を読みましたが、今、その不安は的中しています。

 フィッシャーは中国の次に韓国に渡った。『海外に流出した韓国文化財回収のため、米国で訴訟を起こす』という記事が『コリア・タイムズ』に掲載されたが、その担当がフィッシャー。

 ただ、本当の狙いは対日企業賠償。ヘンデン法では失敗したけれど、それは米国がまともだったからで、韓国なら裁判所などに常識はないと見込んだ。事実そうなっている。

 ある意味すごく厄介な仕掛け人です。世界抗日戦争史実維護連合会はフィッシャーのような弁護士を味方につけて反日活動に勤しんでいた。

 中国は〝過去の悲劇を遺産にする〟手法をユダヤ人から盗んでいるわけです。実際に中国の抗日記念館をいくつか取材しましたが、そのつくりはイスラエルのホロコースト記念館をパクッたものでした。

 さらにタチが悪いことに、ホロコーストは史実であるのに対し、中国と朝鮮半島の主張は史実どころか捏造のオンパレードです。それでも在米反日活動家たちは慰安婦と強制連行をセットにして、日本が〝アジアン・ホロコースト〟を行ったなどと強引なプロパガンダを展開していますが、実際にホロコースト並みのことを行ってきたのは中国です。

 アメリカの高木健一。今回の徴用工判決も、フィッシャーの存在が大きい。こういった反日活動的な動きを見ておかないと、韓国のみならず、今後は中国、北朝鮮が騒ぎ出す可能性が十分ある。

 政治家も外交官も

 2016年10月6日、参議院議員会館で『中国人強制連行 三菱マテリアル訴訟和解報告集会』と題して、院内集会が開かれています。

 報告者として出てきたのが、平野伸人氏(平和活動支援センター所長)、内だ正敏(弁護士)、張完翼(チャンワンイク)氏(三菱重工元徴用工訴訟原告代理人)です。張氏は集会で『日本の大企業は本当に時間稼ぎで、遅延行為をしてますが、それに対抗するためには、韓国の大法院に圧力を加えるためにも、追加訴訟を起こすだとか、色んな智恵をちょっと絞る必要がある』などと述べています。ちなみに張氏は朝日新聞の松井やより氏が主催して昭和天皇を断罪したインチキ模擬裁判『女性国際戦犯法廷』で検事を務めていた人物です。

 福島瑞穂氏も参加しているんですけど、彼女は関東大震災で朝鮮人が虐殺されたことを持ち出して、『中国人も虐殺されているから、これからはそういった問題にも取り組まねばならない』『裁判をやられた皆さんに心から敬意を表します』などと発言していま

 ほかには清水忠史氏(共産党)や木村伸子(共産党)と、藤田幸久氏(現国民民主党)も参加しています。藤田氏なんか68歳にもなって『最大の安全保障は、隣国の尊敬と信頼を勝ち取ること』などとご自身のHPに載せています。

 今後は徴用工像が世界中に建てられていく可能性もなきにしもあらずです。

 やってもいないことを謝罪し、金まで配って隣国の尊敬と信頼を勝ち取れる世界でしたら、軍隊などとうの昔に消滅しているはずです。

 さらに藤田氏は『戦後賠償議連』なんていう団体を立ち上げて、会長に就任しています。こんな集会が参議院議員会館で開催されているじょと自体おかしくありませんか。

 しかも外務省官僚も絡んでいます。和解集会の報告書には、『心ある外務官僚たちの思い』と題して、東郷和彦元オランダ大使と須之部量三元外務次官、栗山尚一元駐米大使、そして、岡本行夫氏の名前が列記されています。

 高山 東郷和彦は外務大臣・東郷茂徳の孫だ。茂徳の本名は朴茂徳。それに和彦の双子の兄、茂彦は朝日新聞の記者で、国会見学に来ていた小学生のスカートをめくったわいせつ事件を起こしている。帰化しても日本人にはなり切れないところがある。

 大高 東郷氏は在日なのですね!だから悪いというわけではないですが、報告書を読むと『一体どこの国の外交官なんだろうか?』と思わざるを得ません。

 報告書には『和解──日本外交の課題 反省を行動で示す努力を』(『外交フォーラム』2006年1月号)の抜粋が掲載されています。

 それを読むと『わたし(外務官僚)の主張は自虐史観ではない』と前置きしながら、『過去の過ちとして認めることは、その国の道義的立場を強くする』『このような条約その他の文書(サンフランシスコ講和条約、日中共同声明、日韓請求権協定等)は、戦争や植民地支配といった不正常な状態に終止符を打ち、正常な国家関係を樹立するためには欠かせない過程であるが、それだけでは和解は達成されない』と。これでは何のための国際協定なのか、外交官としての見識を疑わざるを得ません。

 こんな外務官僚がいるので、世界中の慰安婦像建立は阻止できなかった。何か批判されたらすぐに『その件について我が国は謝罪しております』とオウムのように繰り返すばかりでは、諸外国からは『事実だから謝罪したんだろう』と受け止められて当然です。

中韓をはじめ世界中に展開されている反日活動に対して、日本は有効な手段が打ててないままだ。

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