中国製医薬品原料に発ガン物質が混入

 あすか製薬※1(東京)は6日、2017年まで製造していた高血圧症治療剤「バルサルタン錠『AA』」の4製品を自主回収すると発表した。薬の原材料に、発がん性があるとされる物質「N―ニトロソジメチルアミン」が混入しているとして、欧州で7月上旬から自主回収が始まったため。服用した場合、重い健康被害が出る可能性がある。

 薬の原材料となる「原薬」をつくる他社の中国工場※2の製造過程で、問題の物質が発生したとみられる。

 「バルサルタン錠『AA』」は、国内では14~17年、あすか製薬と外資系製薬のアクタビスの合弁会社が製造し、病院や薬局約1300カ所に計1300万錠を販売した。
あすか製薬は、アクタビスが他社に買収された後に国内販売を中止したが、まだ市中に残っている可能性があるという。

 厚生労働省によると、問題の中国の工場の原薬が使われた薬は、国内ではほかにはないという。同省の担当者は「健康への影響は発がん性物質の混入量によって違う。なぜ混入したかやどれだけの量が混入したか調査結果を報告してもらい、必要があれば対応していく」としている。

欧州薬品管理局(EMA)が5日、中国製薬会社の華海薬業が生産したバルサルタンに、発がん物質のN—ニトロソジメチルアミンが混入されていると発表した。バルサルタンは、高血圧の治療薬の原薬。
ドイツ、イタリアなど欧州5カ国と韓国、台湾、日本では、同関連医薬品の自主回収が相次いだ。

台湾医薬品管理当局、食品薬物管理署は7日、6種類の高血圧治療薬の販売を停止すると発表。

一方、中国製原薬の最大輸入国である韓国は大きな影響を受けた。

韓国紙・朝鮮日報(11日付)など複数のメディアによると、韓国政府は、中国華海製薬が製造した原料を使った115種類の高血圧治療薬の販売を禁止した。同国の保健福祉省は、販売禁止となった治療薬を服用している患者数は約18万人いるとしている。患者の間で不安が高まっている。

販売禁止措置は、韓国製薬会社の収益に大きな打撃を与えるとみられる。同国では、中国の華海製薬に対して損害賠償を求めるべきだとの声が上がっている。

この医薬品は、以前からいわく付きの医薬品で、大手製薬会社ノバルティスファーマの降圧剤「バルサルタン」(商品名ディオバン)の効果が高く見えるよう、臨床研究のデータを改ざんした論文を医師に発表させたとして、薬事法(現医薬品医療機器法)違反(虚偽記述・広告)に元社員が問われていた。

東京地裁は3月、無罪判決を言い渡した(東京地検が控訴)。データ改ざんは認定した一方で、「論文は広告に当たらない」と述べ、無罪の論拠とした。だが、学術誌に載った臨床研究の論文は、多くの医師の薬の使い方に影響を与え、実質的に広告と同等と言えるので、判決は納得がいかないのでは…?

国際がん研究機関(IARC)は、N—ニトロソジメチルアミンの発がんリスクについて、グループ2A(ヒトに対して恐らく発がん性のある)に分類している。

※1、2005年(平成17年)10月1日に、「帝国臓器製薬株式会社」と「グレラン製薬株式会社」が合併して誕生した。

※2、中国製薬会社の華海薬業
ファーハイジャパン薬業株式会社は、親会社である浙江華海薬業有限公司が有するAPI(中間体)供給事業、製剤供給事業、医薬品の開発・生産委受託事業の日本における総合窓口

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